映画 楽園 を見た

見るつもりはなかったのですが吉田修一原作とのことで多分暗い内容だろうなと思いつつ前情報無しで見ました。見た直後の感想は「それでいいの?」でした。終始退屈するわけでもなく場面によっては引き込まれもしましたが最終的に伝わってきたものが「田舎こええ~」「犯人そのまんまかいな」でした。一応、真犯人不明で事の発端として話を回しているのでそれなりのオチを期待してましたがその点でなんとも言えない中途半端な感じが残りました。田舎の閉鎖性がテーマで犯人探しではないということであれば成功なのかもしれませんが。短編を2本合わせてオリジナルキャストを入れているとのことなので道理で2つの話が絡まない、無理と楽園の話が出てきたなぁと思ってました。役者陣は熱演といっていいレベルで良かったです。佐藤浩市の目元が親父の三國連太郎にほんとに似てきましたね。杉咲花は着実にステップアップ出来ているように思いました。佐藤浩市パートの話は実話ベースで救いのない話でした。でもよく考えてみると田舎特有というよりも権威主義的組織としてはよくある話のようにも思えます。村八分のきっかけも役所に直に補助金の話をしたことが長老格の怒りを買ったわけですが長老格から見れば役所との折衝というのが力の源泉なわけでそこに触れられるのは存在意義に関わる重要な部分ということで激怒したと思います。村の発展を考えてのことですが長老格にはそんなことよりも面子や衰退への無責任さを咎められる方がよほど問題なので排除することを選びました。他の村人にはすでに責任感や意思はなくただ権威に盲従することで自己保身を図るのみという状況です。こういう状況は会社等でよくあることで無能な上司やお局様と呼ばれる人が自身の権威のためにボトルネックとなって健全な発展が阻害されいじめやパワハラなどの原因になっています。そういうところで改革を謳う人物はほぼ排除の対象となります。そういう組織を権威主義的組織というわけですがこの映画は単に田舎こええ~ではなくそういう組織の有り様を描いたものと考えれば胸糞ものですがよく出来ていたように思います。