映画 リチャードジュエル を見た。

クリント・イーストウッド監督の新作です。御年89歳らしいですがちょっと考えられない、まさに生きる伝説と言えるでしょう。素晴らしい出来栄えでした。ミスティック・リバー以来、多少の出来の差はあれどハズレがないです。ここ最近の中では上位と思います。監督らしい淡々と進めていく中に過不足無くエピソードを盛り込んでいきます。アトランタ五輪での爆弾テロの爆弾の第一発見者で英雄扱いされていたもののFBIとマスコミのせいで一躍無実の容疑者にされてしまうという筋です。とにかく淡々と進みますがテンポの良さもあってグイグイ引き込まれました。そして役者陣の好演も良かったです。サム・ロックウェル演じるワトソン弁護士の頼もしさ、オリヴィア・ワイルド演じるキャシー記者のゲスさなど熱演でした。印象に残る部分はリチャードジュエルの母親の記者会見での声明で涙を流すキャシー記者を通じてマスコミのいい加減さを描いた部分と最後のリチャードジュエルとFBI捜査官とのやり取りです。リチャードジュエルがF日捜査官に怒りを示した部分ですが、先に家宅捜索時にワトソン弁護士とのやり取りでなぜ怒らないのかと言われ馬鹿にされているのをわかっているものの行動を取れない歯がゆいシーンが有りそれとの対比と思いました。FBIが正義を行うものと信じていたリチャードジュエルは自分への失礼な態度を取られてもそれを信じていたものの尋問でそうではないとわかった時に怒りを捜査官にぶち撒けました。独りよがりであるもののリチャードジュエルは正義の信念を終始持ち続けていたということでしょう。簡単に場面を積み上げているようで各人の性格が描けているところに監督の手腕が尋常でないと感じました。本当にこの年齢でハイレベルな仕事が出来るというのは凄いです。また派手なCGはまったくないので邦画でも実現できる内容でした。それ故に現状の邦画には残念な思いを起こさせられました。楽しめました。